積みは快楽だ 社会人編

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【感想】「短編小説」の短編集 「郵便局と蛇」コッパード

 

郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)

郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)

 

 うすのろサイモン

「うすのろ」が天国を探す話。おとぎ話調で語られてのに急にエレベーターという単語が出て驚いていたら本当にエレベーターで天国に行ってしまいさらに驚く。

若く美しい柳

ある日、孤独な柳の隣に電信柱が立てられて二人(二本?)は徐々に惹かれあっていく。

リー・モーガン

そう、幽霊などいないと思う。そんなものは現実に存在しない。けれどただひとつの例だけは別であるとわたしは知っている。ただひとつの幸福で、美しい幻。

妄想と片付ける解釈もできる、悲しく美しい幽霊恋愛譚。幽霊物のアンソロに是非入れたい。

幼子は迷いけり

何をするにも興味も持てない無趣味の子供が段々と成長していって・・・ああやめてーそういう悪い意味で心にくるのはやめてくれ

 全体の感想

正直半分くらいの短編が「???」でしたが、割と楽しめました。「???」なのは寓話なのか幻想なのか宗教物なのかなんなのか取り扱いに困る感じですね。強いて言えば「短編小説」としかくくりようが無いかなあ。

「郵便局と蛇」は妖怪っぽくて面白くはあるのだけれど何故これが表題作なのかさっぱり分からない。西崎憲編は他に

短篇小説日和―英国異色傑作選 (ちくま文庫)

怪奇小説日和: 黄金時代傑作選 (ちくま文庫 に 13-2)

を読んだけど両者にもやっぱり「分かる」短編と「分からない」短編があるんですよね。小説の意味もそれを選んだ意味もわからないやつが。悪い意味ではなくそんな短編をためつすがめつするのも短編集の楽しみの一つなので、まあ首をひねりつつゆっくり味わいましょうかという感じですかね。