積みは快楽だ 社会人編

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これが華文ミステリか・・・衝撃&驚愕「13・67」陳浩基

 

13・67 上 (文春文庫)

13・67 上 (文春文庫)

 

 

内容

香港を舞台とした警察小説ミステリ

感想

華文ミステリ? 読んだこと無いけど、ミステリ先進国の日本の作品と比べたらどうせ・・・傑作じゃねーか!

激動の時代にあっての警察のあり方を問う一方、本格ミステリとしてハイレベルなことに驚愕。あんまりフィクションに社会派って言葉使いたくないんだけど、エンタメを邪魔しないどころか、舞台装置じゃなくテーマとして消化しており、脱帽。

読者を翻弄する手練手管がすごい、完全に予想外のところから一撃を放ってくる。連作短編のちょっとした繋がりを見つけてにやにやできたりと、ミステリファンのツボを分かってるなあ。

クワン刑事のキャラクターも魅力的、頭脳はキレッキレで市民のためなら危ない橋も平気で渡る(危ない橋というより犯罪では・・・)

作者の好きな小説はなんと獄門島

華文SFも盛り上がってるし、継続して追いかけていきたい。

しかし刊行当時より香港情勢はさらに激動、デモと鎮圧、まさに作品と地続きであり、良くできたエンタメというには洒落にならない事態。

なんでこれ7冠なの納得いかなーい「カササギ殺人事件」アンソニー・ホロヴィッツ

 

 

内容

クリスティーオマージュの作中作と、作中作をめぐるごたごた

感想

「本ミス」「このミス」「読みたい」他、ランキング7冠! 続く他作品もランキング制覇の今をときめくミステリ作家の最高傑作と名高い本作、面白くないわけが・・・面白くないわけが・・・面白くない、あれー?

うーん、トリックありがち、ロジックしょぼい、サプライズ無し、無駄多し、うーむ、、、

もちろん世間の評価と自分の評価なんて乖離してて当たり前だけど、ここまで違うのは久しぶり。Not for meといえばそれまでだけど、揺らぐ自分のミステリ見識、いや信じろ自分を、これは駄作です、よ。

2021年はカササギの続編も出るので、ランキング4連覇の可能性高し、ポール・アルテ、華文ミステリ、頼む、やつを止めてくれ、、、

新たなループ物の傑作、一人用SF人狼「グノーシア」

 

グノーシア|オンラインコード版

グノーシア|オンラインコード版

  • 発売日: 2020/06/02
  • メディア: Software Download
 

 

内容

一人用、SF人狼ゲーム

感想

話題のゲーム、クリアしました。146周でクリア。

人狼=グノーシア、占い師=エンジニア、等の言い換えがあるものの、基本的に人狼。最大15人で、人狼の数、役割の有無、自分の役割、を選択して開始できる。

「CPU相手に人狼やって面白いの?」

これは私もプレイするまでは疑問だったけど、面白い。CPUは感情的、論理的、嘘が嫌い等それぞれタイプが違い、ヘイトの概念もある。

人狼のポイントである「いかに人狼を探すか(推理)」「どうやって皆を説得するか(議論の誘導)」「死なずに立ち回るか(戦略)」が、バランスよく要求される。

何より相手を探す必要もなく、1プレイ10分でさくっと終わるのが良い。

そして、プレイが終わるとループして最初の役割選択に戻る

ゲームの目的は、人狼を繰り返して登場人物の情報を集め、ループの謎を解き明かすこと。

登場人物は一癖ある胡散臭いやつばかりだが、何度もプレイしていく間にどんどん愛着が湧いていく、実質ゲーム仲間だしね。

そして登場人物の情報を集める、というのがなかなか良くできている。なぜかというと、最初はプレイヤー自信が生き残ることに必死なのだが、ある登場人物と一緒に生き残るという条件を満たすことに徐々に目的がシフトして難易度が上がる。敵陣営だと分かっているのにかばうという状況が発生する。なので、人狼の繰り返しでも飽きがこない。

そして何週もしているうちに人狼はうまくなりパラメータ(カリスマなど)が上がり段々謎が明らかになっていく、はまる構造。もっとゆっくりプレイしようと思っていたのに、一週間でクリアしてしまった。

ループSFが好きな人、人狼が好きな人、推理ゲームが好きな人、変わったゲームが好きな人、いろいろな人に楽しんでもらいたいゲームです、すごくおすすめ

 

野心作か失敗作か、実験的で挑戦的でメタでアンチな唯一無二の怪作「虹の歯ブラシ」早坂吝

 

虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社文庫)

虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社文庫)

  • 作者:早坂 吝
  • 発売日: 2017/09/14
  • メディア: 文庫
 

 

内容

探偵上木らいちが遭遇する、虹の各色に対応した事件

感想

エロミスと言われるように特殊な手掛かりとそこから犯人を導くロジックも独特の良くできたミステリ短編集・・・だとでも思ったか!

ネタバレ有の解説は巻末の深水黎一郎に譲るとして、うーむ・・・

ミステリの連作短編集ではたいてい最後に連作ならではの仕掛けがあって、楽しみなのだが・・・これは一体何なんですかね

ミステリってのは最後一つに収束するのが美しいのであって、タイトル通り発散してどうするのよ。この作者ならきれいな解決で「良くできた短編集」でまとめることはできるんだけど・・・それじゃあ面白くないと思ってしまったか・・・

「あなたはミステリに何を期待して読みますか?」というのを問いかけられているような、実験的で挑戦的でメタでアンチな怪作。その試みが成功か失敗かは君が読んで確かめるんだ! え? 私? 私は失敗7割と思うが、次の作品を読んでみたいと思ったよ。

 

関連記事

 

www.tsumi-kai.com

 

 

なるほどとオチのつく、ある意味「侘び寂び」ミステリ短編集「夜の冒険」エドワード・D・ホック

 

夜の冒険 現代短篇の名手たち8
 

 

内容

ほぼ千の短編を書いたホックの自選ノンシリーズ短編集

レミング刑事最後の事件

引退を宣告された刑事が臨む最後の事件

くされ縁

慎重派軍人とヒャッハー系軍人、兵卒から将軍にまでなった二人のくされ縁

スペインの町で3週間

休暇をさびれた町でとることにしたが、どうも様子がおかしいような。

感想

きっちりオチがつく安心のミステリ短編集。

特徴としては事件→オチというシンプルな流れを重視していることと、全体的に、読者をだましてやろうという気があまり感じられないこと。そのため、悪く言えば大きなサプライズが無い、良く言えば安心して読める。

オチを読んでの感想は「やられた、騙された、驚いた」ではなく、「なるほど、こう落としてくるか」みたくしみじみ感じいる感じ。バレバレのオチもあるが、良くいえば納得のオチなわけで不満は無い。ある意味「侘び寂び」ミステリ短編といえると思う。

 

いまいちすっきりしなくて残念「幽霊が多すぎる」ポール・ギャリコ

 

幽霊が多すぎる (創元推理文庫)

幽霊が多すぎる (創元推理文庫)

 

 

内容

心霊現象が続く屋敷に心霊探偵が調査に訪れる

感想

「他ジャンルの作家が書いた、唯一のミステリ!」そういう売り文句に私は弱いのだ、が、これはいまいち。

うーむ・・・題名通り多すぎる心霊現象を探偵が解決するミステリなわけだけど、どうもすっきりしない。「探偵の解決」というより、「手品のネタばらし」のがっかり感がある。道中も、事件→解決が一直線にならずふらふらしてるのと、登場人物も多すぎるせいでごちゃごちゃ。探偵の名探偵力?も低く暗中模索で、もどかしい苛立ち感は登場人物達と共有できますが・・・。

挑戦的な意欲作に驚愕と困惑「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」早坂吝

 

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

 

 

内容

孤島で起こる殺人事件。一体この殺人事件の「タイトル」は?

感想

「タイトル当て小説」って何? と思うが、事件そのものが超難易度高いからせめてタイトルだけでも当ててごらん、という作者のありがたい配慮です。読み終わってみると確かにこのタイトルだと分かる。

最初に上記の説明聞いたときは「うわ、つまんなそー」と思いましたが、違います。ある「仕掛け」と絡んでくるのです。

その「仕掛け」が前代未聞、かつ丁寧に小さな違和感を積み上げての真相解明カタルシス・・・なんだけど若干の人を食ったようなバカさ・・・いや、バカミスではないですよ、完全に驚いたし驚いたら負けですよね。

ちょくちょく作者がメタ的に登場して読者をあおってくるんですが、作品に対する自信の表れですね。ミステリにおいては作者のドヤ顔は欠点ではないですし。

まさに「メフィスト賞」でございます。良い意味で性格が悪い作者に翻弄されたい方はどうぞ。