積みは快楽だ 社会人編

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【感想】再び推理マシマシ大盛「その可能性はすでに考えた 聖女の毒杯」井上真偽

 

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

 

まったく、何という空理空論。――互いに大法螺の棍棒で殴り合っているようなものである。

内容

ある村の結婚式の最中に、酒を回し飲みした親族の中で男だけが毒殺される。誰がどうやって毒を仕込んだのか、それともこれは「カズミ様の呪い」なのか

その可能性はすでに考えたシリーズ第二弾。

感想

相変わらず事件は超高速展開、130ページで事件の情報が出そろい、あとは推理推理アンド推理。でてきた推理の数は数える気にもならない。

最初は被害者たちがお互いに犯人よばわりする推理小説おなじみの穏当?な展開に油断していると、フェリー上で拷問ショー直前というアクロバティックな舞台で推理合戦と、外連味も相変わらず。

それを楽しめるかというと確かに楽しい。メタ的な視点だと、仮設と反証には論理性以外にも、「面白くなければならない」という枷がはまっているのだけれど、それを巧みに伏線を配置することで回避しているのは実に良い手腕。

ただなあ・・・どうしても真相が伏線の間をすり抜けたものになってしまうのがちょっと歯がゆいかな。途中から推理が複雑化して「本当に全部考えたの?」ともやもやする。

本当は表とか見取り図とか手掛かりとにらめっこしながら「俺の考えた可能性」で作者と勝負するのが一番楽しめるんだろうなあ。やらんけども。

あと、ランキング上は本作のほうが前作より上ですが、個人的には前作のほうが楽しかったです。前作感想↓

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