積みは快楽だ 社会人編

読書その他の雑記

【感想】重くない東野圭吾が読みたい人に「マスカレード・ホテル」東野圭吾

マスカレード・ホテル (集英社文庫)

マスカレード・ホテル (集英社文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2014/07/18
  • メディア: 文庫
 

内容

東野圭吾の人気シリーズ「マスカレード」の第一作、映画化済み

連続殺人の次の犯行は高級ホテル、犯人もターゲットも不明。ホテルウーマンとホテルマンに化けた刑事は犯行を防げるか

感想

久しぶりに東野圭吾が読みたいなあ、でも重いのはいやだなあと思い、本書を購入。結果成功。

続々と現れる怪しい宿泊客とその対応、ホテルの裏側なんかを楽しみつつ、予想できない犯人もご用意。キャラクターも魅力的。信じるホテルマンと疑う刑事。

減点要素なし、ただ、ガチの謎解きミステリではないのでそこは注意。

肩の力をぬいた、まったり読書。こういう作品が本棚にあると安心感がある。

シリーズ続編も購入済み。ゆっくり楽しみたい。

映画

映画はキムタクかあ、予告編は面白そうだけど、、、未読の人は映画から入るのも良いかも。


映画『マスカレード・ホテル』予告映像【2019年1月18日(金)公開】

【感想】熱い小説家講座「小説家になって億を稼ごう」松岡圭祐

 

小説家になって億を稼ごう (新潮新書)

小説家になって億を稼ごう (新潮新書)

  • 作者:松岡 圭祐
  • 発売日: 2021/03/17
  • メディア: 新書
 

 

小説家が儲からないというのは嘘

目次

ベストセラー作家松岡圭祐が明かす、売れる小説家になるためのノウハウ

「目次」
はじめに――小説家が儲からないというのは嘘

 I部 小説家になろう
第一章 売れるための大原則「現代小説とはなにか」
第二章 人々に愛される物語の『想造』とは
第三章 魅力的なあらすじ
第四章 おもてなしの精神に満ちた執筆方法
第五章 貴方の小説をリリースする方法
第六章 失敗しないゲラ校閲作業のコツ
第七章 プロが儲からない理由は出版契約書

 II部 億を稼ごう

第一章 デビューの直後にすべきこと
第二章 編集者との付き合い方
第三章 デビュー作がヒットした時、しなかった時
第四章 映画化やドラマ化への対応
第五章 ベストセラー作家になってから気をつけること

内容

以下、内容を紹介しますが、どうしても引用が多くなってしまう、、、というか全文引用したいぐらいの密度だ。

本書の構成は、下記となっている。

はじめに 「小説書いて儲けようぜ」

第一部 「現代小説の背景」→「小説の書き方」→「デビューの仕方」

第二部 「デビュー後になにをするか」→「どう儲けるか」→「儲けたあとは」

はじめに

本書でご紹介するのは、小説家で「食べていく」のではなく「儲けて富を得る」方法です。

年収は二千万円から三千万円ぐらいが、最もくらしやすいとも言われます。しかし当面の目標は一億円以上に置いてください。

小説家になるノウハウ本というのは結構あるけど、「儲けろ」というのは珍しいのでは? 

できるかぎり多くの読者に必要とされたいと願えばこそ、よりよい小説が書けるでしょう。

稼ごうとするほど、良い小説が書ける、か、、、

いや、好きなことを書きたいわけで儲け優先なわけでは・・・に対して「好きな小説が書きたいなら、儲けてから書けば?」直球である。

 第一部 小説の書き方からデビューまで

 本書では『想造』という小説の書き方を紹介している。基本的に内容を全部、頭の中で完成させてから書くやり方。具体的なやり方まで詳述されてます。小説の「視点」から推敲は大きいディスプレイでやれ、というノウハウまで。

人それぞれに個性があり、みな特別な存在です。貴方が『想造』によって紡ぎだした物語は、貴方の性格や経験、知識、嗜好などが結合した、けっして他人には想像しえないものになります。面白くないはずがありません。

次に小説を世に出す方法、「編集者への売り込み」「新人賞への応募」「小説投稿サイトの利用」

こちらは主に心構えから、編集者の反応の読み取り方についてまで。最後に重要な出版契約書について

第二部 デビュー後、稼ぎ方

作家としてデビューしてから、印鑑作ったり、編集と付き合ったり、二作目を売るためには。

一度や二度、出版した作品が売れなかったとしても、それはただの運でしかありません。挑戦は何度でも行えます。小説の完成度も上がっていきます。ついには運に左右されないレベルで、確実に人の心を動かす作品を生み出すことでしょう。

「編集者の態度別」小説家ランク測定法もあるぞ!

そして売れてからの映像化やベストセラー作家の過ごし方まで。

もはや貴方は無限のエネルギーをもとに、不滅の製品を作り出す専門職に就いたのです。

感想

「小説の書き方」でなく「小説家になって儲ける方法」です。ちょっと違うよ。

うーむ、内容が濃く、熱量もすごい。あれ、私でも億かせげるのでは? と思えてしまうほど説得力がある。説得力があるうえに、「あなたなら当然できる」みたいなノリだから、「やっぱ俺ならできるのか、、、」となってしまうよー。

ゼロから小説を書き、デビュー、大儲けという一貫した筋立てになっているのもドキドキワクワクが強い。

さて、夢中で一気読みしてしまったが、億稼げるかというのは別の話。本書を極端に単純化すると、まじめにおごらず小説を書き続ければ儲かります、ということになってしまうからなー。

でも小説家に憧れてるけど書いてない人、なりたいが行き詰まりを感じている人が読めば、また新しいスタートを踏める気はしますし、なにより、「俺にできたからお前にもできる! 一緒に小説界を盛り上げようぜ!」的な松岡先生の熱い思いが感じられておすすめの一冊です。

関連書籍など

・第一部関連書籍

小説の書き方本はたくさんあるけど、評判良いのは冲方先生かな?(ラノベですが)

 

・第二部関連書籍

 実際に億稼いでる小説家の収支がどんなものか分かる一冊

作家の収支 (幻冬舎新書)

作家の収支 (幻冬舎新書)

 

 

【感想】妄言ってタイトルに書いてあるでしょ? 「月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言」倉知淳

月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言

内容

猫丸先輩シリーズ短編集

日常の謎が5編

感想

先輩久しぶりっす、なんか頭身あがりましたね、、、

3日連続不法侵入や、荒れた海へ向かう足跡、怖くない恐怖写真なんかの謎を怪しげな猫丸先輩が独特の話術で解決? する短編集

暗号が無い暗号ミステリって結構斬新だな

日常の謎って一歩間違えば与太話ですけど、これはわざと与太話感強めでやってますね、、、というか妄言のたぐいなのでは? あ、タイトルに書いてあるじゃん。

それにしても、もう少しインパクトとか切れ味とかぶっとんだ話とか欲しいかなあ、だいぶ物足りない

【感想】これまた奇抜な特殊設定ミステリ「あと十五秒で死ぬ」榊林銘

 

あと十五秒で死ぬ (ミステリ・フロンティア)

あと十五秒で死ぬ (ミステリ・フロンティア)

  • 作者:榊林 銘
  • 発売日: 2021/01/28
  • メディア: 単行本
 

 

内容

十五秒

銃で撃たれた瞬間、時間が止まり、あと十五秒で死ぬと告げられる。たった十五秒で何ができるかの戦い。

このあと衝撃の結末が

テレビドラマがちょっと目を離したすきに超展開、一体何があったのか?

うーむ、やってることは超すごいんだけど、見せ方は他に何かなかったのか、、、

首が取れても死なない僕らの首無殺人事件

首を取り外せる(ただし十五秒首と胴体が離れたら死ぬ)人々が暮らす島で、殺人。

非常にシュールな絵面。

感想

新人のデビュー作含む特殊設定短編集。光るものがあるかといえば、めっちゃある。面白い。十五秒で死ぬという非常に厳しい特殊設定でよく書けるよなあ。

ただ、お前の実力はまだこんな物じゃないだろ、という気はする。次作が出たら買うけど、惜しいことにかなりの寡作なようだ。

【感想】ノンシリーズ短編集が本ミス1位は嬉しい「透明人間は密室に潜む」阿津川辰海

 

透明人間は密室に潜む

透明人間は密室に潜む

 

 

内容

透明人間は密室に潜む

透明人間による殺人の計画と実行。透明人間はどこに潜んでいるのか?

透明人間なら殺人も簡単かと思いきや意外と苦労が多く、そのあたりの設定と犯罪と世界観のすり合わせが楽しい。

六人の熱狂する日本人

ほぼ有罪で決まりと思われた裁判員裁判で、一人のアイドルオタクの発言から、事件は思わぬ方向に。とにかく異常なテンションが楽しい。

第13号船室からの脱出

船上での脱出ゲームと、平行して行われる犯罪。え、脱出ゲームってこんなにレベル高いの!?

 

感想

ノンシリーズ短編集が本ミス1位は快挙。

バラエティ豊かだけど、謎解きが少し弱いかなーと思ったところで、最後の第13号船室は白眉。謎のレベルが高いのはもちろん、それを解く側のレベルもめちゃくちゃ高い。

阿津川辰海の他の作品は読んでないけど、確かな実力を感じさせる短編集。

【感想】登場人物も読者も完全にやられてるやんけ「葬儀を終えて」アガサ・クリスティー

 

 

”だが、もし私の推理が正しいなら” ポアロは思った。”いや、つまるところ私は正しい。当然だ。正しさが私の習慣だから!”

内容

名探偵エルキュール・ポアロ

資産家の葬儀の後で、財産分与は公平でめでたしめでたしと思ったら、空気読まないやつが爆弾発言、そして当然起こる殺人事件

感想

・登場人物が多い

・ほぼ全員動機あり

・ほぼ全員犯行が可能

この状態で話が進んでいくため、おいおいアガサ女王だいじょぶか? これ面白くなるのか? と思いながら読む。

ところが解決篇、あ、あざやかぁ、、、なんという切れ味、、、登場人物も読者も完全にやられてるやんけ

女王陛下、不敬な発言お許しください、なにとぞ、、、

読んだきっかけ

下記の、電子書籍アガサクリスティーセール(現在は終了)に応じて、斜線堂先生と阿津川先生が揃って挙げていたため読みました。

togetter.com

関連記事

他に読んだクリスティー

「死との約束」★★★☆☆ 

www.tsumi-kai.com

「カーテン」★★★★★

www.tsumi-kai.com

 

 

【感想】これが華文ミステリか・・・衝撃&驚愕「13・67」陳浩基

 

13・67 上 (文春文庫)

13・67 上 (文春文庫)

 

 

内容

香港を舞台とした警察小説ミステリ

感想

華文ミステリ? 読んだこと無いけど、ミステリ先進国の日本の作品と比べたらどうせ・・・傑作じゃねーか!

激動の時代にあっての警察のあり方を問う一方、本格ミステリとしてハイレベルなことに驚愕。あんまりフィクションに社会派って言葉使いたくないんだけど、エンタメを邪魔しないどころか、舞台装置じゃなくテーマとして消化しており、脱帽。

読者を翻弄する手練手管がすごい、完全に予想外のところから一撃を放ってくる。連作短編のちょっとした繋がりを見つけてにやにやできたりと、ミステリファンのツボを分かってるなあ。

クワン刑事のキャラクターも魅力的、頭脳はキレッキレで市民のためなら危ない橋も平気で渡る(危ない橋というより犯罪では・・・)

作者の好きな小説はなんと獄門島

華文SFも盛り上がってるし、継続して追いかけていきたい。

しかし刊行当時より香港情勢はさらに激動、デモと鎮圧、まさに作品と地続きであり、良くできたエンタメというには洒落にならない事態。