積みは快楽だ 社会人編

読書その他の雑記

【感想】妄言ってタイトルに書いてあるでしょ? 「月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言」倉知淳

月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言

内容

猫丸先輩シリーズ短編集

日常の謎が5編

感想

先輩久しぶりっす、なんか頭身あがりましたね、、、

3日連続不法侵入や、荒れた海へ向かう足跡、怖くない恐怖写真なんかの謎を怪しげな猫丸先輩が独特の話術で解決? する短編集

暗号が無い暗号ミステリって結構斬新だな

日常の謎って一歩間違えば与太話ですけど、これはわざと与太話感強めでやってますね、、、というか妄言のたぐいなのでは? あ、タイトルに書いてあるじゃん。

それにしても、もう少しインパクトとか切れ味とかぶっとんだ話とか欲しいかなあ、だいぶ物足りない

【感想】これまた奇抜な特殊設定ミステリ「あと十五秒で死ぬ」榊林銘

 

あと十五秒で死ぬ (ミステリ・フロンティア)

あと十五秒で死ぬ (ミステリ・フロンティア)

  • 作者:榊林 銘
  • 発売日: 2021/01/28
  • メディア: 単行本
 

 

内容

十五秒

銃で撃たれた瞬間、時間が止まり、あと十五秒で死ぬと告げられる。たった十五秒で何ができるかの戦い。

このあと衝撃の結末が

テレビドラマがちょっと目を離したすきに超展開、一体何があったのか?

うーむ、やってることは超すごいんだけど、見せ方は他に何かなかったのか、、、

首が取れても死なない僕らの首無殺人事件

首を取り外せる(ただし十五秒首と胴体が離れたら死ぬ)人々が暮らす島で、殺人。

非常にシュールな絵面。

感想

新人のデビュー作含む特殊設定短編集。光るものがあるかといえば、めっちゃある。面白い。十五秒で死ぬという非常に厳しい特殊設定でよく書けるよなあ。

ただ、お前の実力はまだこんな物じゃないだろ、という気はする。次作が出たら買うけど、惜しいことにかなりの寡作なようだ。

【感想】ノンシリーズ短編集が本ミス1位は嬉しい「透明人間は密室に潜む」阿津川辰海

 

透明人間は密室に潜む

透明人間は密室に潜む

 

 

内容

透明人間は密室に潜む

透明人間による殺人の計画と実行。透明人間はどこに潜んでいるのか?

透明人間なら殺人も簡単かと思いきや意外と苦労が多く、そのあたりの設定と犯罪と世界観のすり合わせが楽しい。

六人の熱狂する日本人

ほぼ有罪で決まりと思われた裁判員裁判で、一人のアイドルオタクの発言から、事件は思わぬ方向に。とにかく異常なテンションが楽しい。

第13号船室からの脱出

船上での脱出ゲームと、平行して行われる犯罪。え、脱出ゲームってこんなにレベル高いの!?

 

感想

ノンシリーズ短編集が本ミス1位は快挙。

バラエティ豊かだけど、謎解きが少し弱いかなーと思ったところで、最後の第13号船室は白眉。謎のレベルが高いのはもちろん、それを解く側のレベルもめちゃくちゃ高い。

阿津川辰海の他の作品は読んでないけど、確かな実力を感じさせる短編集。

【感想】B級映画じゃないよ、計算し尽くされた一流の仕事だよ 映画「カメラを止めるな!」2017年

 

カメラを止めるな!

カメラを止めるな!

  • 発売日: 2018/10/27
  • メディア: Prime Video
 

 

内容

B級映画、、、じゃないよー

感想

ネタバレ無しで感想書きますが、難しい。見視聴の方は、前情報入れずに観てほしい。できれば公式サイトすら見ないでほしい。

文字通りカメラを止めずワンカットでB級映画が始まる、だが冒頭すぎたあたりからあきらかに変な描写、演出が増え始め、それらはすべて伏線。今の何? というのを覚えているのが肝心で、後半きっちり意味が分かる。

すべて計算づくの、一流の仕事。

だめ、これ以上ネタバレ無しで書けません。とにかく観てー、とてもおすすめ。

【感想】あー驚いた、でもあれはどういうことだったの? あれとこれとそれは? 驚きvs納得感 映画「ユージュアル・サスペクツ」1995年

 

ユージュアル・サスペクツ (字幕版)

ユージュアル・サスペクツ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

内容

 

麻薬の運搬船が悪党どもに襲われる だがそこに麻薬はなく、一体どんな背景が?

感想

ミステリ映画。むむむ、感想と評価は難しいなあ。煙に巻くのが趣向の映画に、煙に巻かれました、というのが大体のところ。道中を引っ張る力はあるし(構成を理解するのに時間かかったけど)サプライズも用意されていて、何が不満なの? と言われると困ってしまうんだけど、、、

結末の納得感があれなんですよ、一瞬の驚きと、後からじわじわ襲い来る、数えきれない不信と疑念の数々。あー驚いた、でもあれはどういうことだったの? あれとこれとそれは?

結局、製作者の意図通りの映画と思うけど、それを受け入れられるかは別の話だなあ。見て損する映画ではないけど、あまりおすすめではないです。

 

【感想】登場人物も読者も完全にやられてるやんけ「葬儀を終えて」アガサ・クリスティー

 

 

”だが、もし私の推理が正しいなら” ポアロは思った。”いや、つまるところ私は正しい。当然だ。正しさが私の習慣だから!”

内容

名探偵エルキュール・ポアロ

資産家の葬儀の後で、財産分与は公平でめでたしめでたしと思ったら、空気読まないやつが爆弾発言、そして当然起こる殺人事件

感想

・登場人物が多い

・ほぼ全員動機あり

・ほぼ全員犯行が可能

この状態で話が進んでいくため、おいおいアガサ女王だいじょぶか? これ面白くなるのか? と思いながら読む。

ところが解決篇、あ、あざやかぁ、、、なんという切れ味、、、登場人物も読者も完全にやられてるやんけ

女王陛下、不敬な発言お許しください、なにとぞ、、、

読んだきっかけ

下記の、電子書籍アガサクリスティーセール(現在は終了)に応じて、斜線堂先生と阿津川先生が揃って挙げていたため読みました。

togetter.com

関連記事

他に読んだクリスティー

「死との約束」★★★☆☆ 

www.tsumi-kai.com

「カーテン」★★★★★

www.tsumi-kai.com

 

 

【感想】これが華文ミステリか・・・衝撃&驚愕「13・67」陳浩基

 

13・67 上 (文春文庫)

13・67 上 (文春文庫)

 

 

内容

香港を舞台とした警察小説ミステリ

感想

華文ミステリ? 読んだこと無いけど、ミステリ先進国の日本の作品と比べたらどうせ・・・傑作じゃねーか!

激動の時代にあっての警察のあり方を問う一方、本格ミステリとしてハイレベルなことに驚愕。あんまりフィクションに社会派って言葉使いたくないんだけど、エンタメを邪魔しないどころか、舞台装置じゃなくテーマとして消化しており、脱帽。

読者を翻弄する手練手管がすごい、完全に予想外のところから一撃を放ってくる。連作短編のちょっとした繋がりを見つけてにやにやできたりと、ミステリファンのツボを分かってるなあ。

クワン刑事のキャラクターも魅力的、頭脳はキレッキレで市民のためなら危ない橋も平気で渡る(危ない橋というより犯罪では・・・)

作者の好きな小説はなんと獄門島

華文SFも盛り上がってるし、継続して追いかけていきたい。

しかし刊行当時より香港情勢はさらに激動、デモと鎮圧、まさに作品と地続きであり、良くできたエンタメというには洒落にならない事態。