積みは快楽だ 社会人編

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【感想】ノンシリーズ短編集が本ミス1位は嬉しい「透明人間は密室に潜む」阿津川辰海

 

透明人間は密室に潜む

透明人間は密室に潜む

 

 

内容

透明人間は密室に潜む

透明人間による殺人の計画と実行。透明人間はどこに潜んでいるのか?

透明人間なら殺人も簡単かと思いきや意外と苦労が多く、そのあたりの設定と犯罪と世界観のすり合わせが楽しい。

六人の熱狂する日本人

ほぼ有罪で決まりと思われた裁判員裁判で、一人のアイドルオタクの発言から、事件は思わぬ方向に。とにかく異常なテンションが楽しい。

第13号船室からの脱出

船上での脱出ゲームと、平行して行われる犯罪。え、脱出ゲームってこんなにレベル高いの!?

 

感想

ノンシリーズ短編集が本ミス1位は快挙。

バラエティ豊かだけど、謎解きが少し弱いかなーと思ったところで、最後の第13号船室は白眉。謎のレベルが高いのはもちろん、それを解く側のレベルもめちゃくちゃ高い。

阿津川辰海の他の作品は読んでないけど、確かな実力を感じさせる短編集。

【感想】B級映画じゃないよ、計算し尽くされた一流の仕事だよ 映画「カメラを止めるな!」2017年

 

カメラを止めるな!

カメラを止めるな!

  • 発売日: 2018/10/27
  • メディア: Prime Video
 

 

内容

B級映画、、、じゃないよー

感想

ネタバレ無しで感想書きますが、難しい。見視聴の方は、前情報入れずに観てほしい。できれば公式サイトすら見ないでほしい。

文字通りカメラを止めずワンカットでB級映画が始まる、だが冒頭すぎたあたりからあきらかに変な描写、演出が増え始め、それらはすべて伏線。今の何? というのを覚えているのが肝心で、後半きっちり意味が分かる。

すべて計算づくの、一流の仕事。

だめ、これ以上ネタバレ無しで書けません。とにかく観てー、とてもおすすめ。

【感想】あー驚いた、でもあれはどういうことだったの? あれとこれとそれは? 驚きvs納得感 映画「ユージュアル・サスペクツ」1995年

 

ユージュアル・サスペクツ (字幕版)

ユージュアル・サスペクツ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

内容

 

麻薬の運搬船が悪党どもに襲われる だがそこに麻薬はなく、一体どんな背景が?

感想

ミステリ映画。むむむ、感想と評価は難しいなあ。煙に巻くのが趣向の映画に、煙に巻かれました、というのが大体のところ。道中を引っ張る力はあるし(構成を理解するのに時間かかったけど)サプライズも用意されていて、何が不満なの? と言われると困ってしまうんだけど、、、

結末の納得感があれなんですよ、一瞬の驚きと、後からじわじわ襲い来る、数えきれない不信と疑念の数々。あー驚いた、でもあれはどういうことだったの? あれとこれとそれは?

結局、製作者の意図通りの映画と思うけど、それを受け入れられるかは別の話だなあ。見て損する映画ではないけど、あまりおすすめではないです。

 

【感想】登場人物も読者も完全にやられてるやんけ「葬儀を終えて」アガサ・クリスティー

 

 

”だが、もし私の推理が正しいなら” ポアロは思った。”いや、つまるところ私は正しい。当然だ。正しさが私の習慣だから!”

内容

名探偵エルキュール・ポアロ

資産家の葬儀の後で、財産分与は公平でめでたしめでたしと思ったら、空気読まないやつが爆弾発言、そして当然起こる殺人事件

感想

・登場人物が多い

・ほぼ全員動機あり

・ほぼ全員犯行が可能

この状態で話が進んでいくため、おいおいアガサ女王だいじょぶか? これ面白くなるのか? と思いながら読む。

ところが解決篇、あ、あざやかぁ、、、なんという切れ味、、、登場人物も読者も完全にやられてるやんけ

女王陛下、不敬な発言お許しください、なにとぞ、、、

読んだきっかけ

下記の、電子書籍アガサクリスティーセール(現在は終了)に応じて、斜線堂先生と阿津川先生が揃って挙げていたため読みました。

togetter.com

関連記事

他に読んだクリスティー

「死との約束」★★★☆☆ 

www.tsumi-kai.com

「カーテン」★★★★★

www.tsumi-kai.com

 

 

【感想】これが華文ミステリか・・・衝撃&驚愕「13・67」陳浩基

 

13・67 上 (文春文庫)

13・67 上 (文春文庫)

 

 

内容

香港を舞台とした警察小説ミステリ

感想

華文ミステリ? 読んだこと無いけど、ミステリ先進国の日本の作品と比べたらどうせ・・・傑作じゃねーか!

激動の時代にあっての警察のあり方を問う一方、本格ミステリとしてハイレベルなことに驚愕。あんまりフィクションに社会派って言葉使いたくないんだけど、エンタメを邪魔しないどころか、舞台装置じゃなくテーマとして消化しており、脱帽。

読者を翻弄する手練手管がすごい、完全に予想外のところから一撃を放ってくる。連作短編のちょっとした繋がりを見つけてにやにやできたりと、ミステリファンのツボを分かってるなあ。

クワン刑事のキャラクターも魅力的、頭脳はキレッキレで市民のためなら危ない橋も平気で渡る(危ない橋というより犯罪では・・・)

作者の好きな小説はなんと獄門島

華文SFも盛り上がってるし、継続して追いかけていきたい。

しかし刊行当時より香港情勢はさらに激動、デモと鎮圧、まさに作品と地続きであり、良くできたエンタメというには洒落にならない事態。

【感想】なんでこれ7冠なの納得いかなーい「カササギ殺人事件」アンソニー・ホロヴィッツ

 

 

内容

クリスティーオマージュの作中作と、作中作をめぐるごたごた

感想

「本ミス」「このミス」「読みたい」他、ランキング7冠! 続く他作品もランキング制覇の今をときめくミステリ作家の最高傑作と名高い本作、面白くないわけが・・・面白くないわけが・・・面白くない、あれー?

うーん、トリックありがち、ロジックしょぼい、サプライズ無し、無駄多し、うーむ、、、

もちろん世間の評価と自分の評価なんて乖離してて当たり前だけど、ここまで違うのは久しぶり。Not for meといえばそれまでだけど、揺らぐ自分のミステリ見識、いや信じろ自分を、これは駄作です、よ。

2021年はカササギの続編も出るので、ランキング4連覇の可能性高し、ポール・アルテ、華文ミステリ、頼む、やつを止めてくれ、、、

【感想】新たなループ物の傑作、一人用SF人狼「グノーシア」

 

グノーシア|オンラインコード版

グノーシア|オンラインコード版

  • 発売日: 2020/06/02
  • メディア: Software Download
 

 

内容

一人用、SF人狼ゲーム

感想

話題のゲーム、クリアしました。146周でクリア。

人狼=グノーシア、占い師=エンジニア、等の言い換えがあるものの、基本的に人狼。最大15人で、人狼の数、役割の有無、自分の役割、を選択して開始できる。

「CPU相手に人狼やって面白いの?」

これは私もプレイするまでは疑問だったけど、面白い。CPUは感情的、論理的、嘘が嫌い等それぞれタイプが違い、ヘイトの概念もある。

人狼のポイントである「いかに人狼を探すか(推理)」「どうやって皆を説得するか(議論の誘導)」「死なずに立ち回るか(戦略)」が、バランスよく要求される。

何より相手を探す必要もなく、1プレイ10分でさくっと終わるのが良い。

そして、プレイが終わるとループして最初の役割選択に戻る

ゲームの目的は、人狼を繰り返して登場人物の情報を集め、ループの謎を解き明かすこと。

登場人物は一癖ある胡散臭いやつばかりだが、何度もプレイしていく間にどんどん愛着が湧いていく、実質ゲーム仲間だしね。

そして登場人物の情報を集める、というのがなかなか良くできている。なぜかというと、最初はプレイヤー自信が生き残ることに必死なのだが、ある登場人物と一緒に生き残るという条件を満たすことに徐々に目的がシフトして難易度が上がる。敵陣営だと分かっているのにかばうという状況が発生する。なので、人狼の繰り返しでも飽きがこない。

そして何週もしているうちに人狼はうまくなりパラメータ(カリスマなど)が上がり段々謎が明らかになっていく、はまる構造。もっとゆっくりプレイしようと思っていたのに、一週間でクリアしてしまった。

ループSFが好きな人、人狼が好きな人、推理ゲームが好きな人、変わったゲームが好きな人、いろいろな人に楽しんでもらいたいゲームです、すごくおすすめ