積みは快楽だ 社会人編

読書その他の雑記

【感想】幕末版魔界転生 「大東亜忍法帖【完全版】」 荒山徹

 

大東亜忍法帖【完全版】

大東亜忍法帖【完全版】

 

内容

山田風太郎の「魔界転生」のオマージュ

幕末維新の騒乱期。命を落とした超絶剣士達が次々と蘇った。千葉周作、男谷精一郎、伊庭軍兵衛近藤勇土方歳三沖田総司など総勢十二人! そして彼らを率いるのは、山田一風斎と名乗る謎の陰陽師。邪神“くとぅるー”の威光を負った彼らの目的は…? 発足したばかりの明治政府に《恐るべき超絶の集団》が襲いかかる!(Amazon内容紹介より)

感想

本歌取り」っていうのかこれ? むしろ「デスメタルカバー曲」じゃないのか・・・もとより暴走が売りの荒山先生がブレーキを踏まずに書いた怪作ですね。

なにが面白いって蘇った死者軍団ですよね。こいつら生前なら殺し合いそうなメンバーなのに、妙に仲が良い。竜馬はぜよぜよいってる。悪役珍道中な感じである。

無茶苦茶な幕末・明治ものが読みたい方にはぜひ。「魔界転生」のファンの方におすす・・・おすすめして怒られないかな? 大丈夫かな?

荒山徹初心者なら本書は危険なので十兵衛両断から読もう。面白さで腰を抜かしてようこそ荒山の世界へ。

十兵衛両断

十兵衛両断

 

 出版社アドレナライズ

版元と揉めた本書や、絶版の十兵衛両断を電子書籍で転生させた、影の黒幕

「絶版だがプレミアがついてない」本を中心に電子出版する謎のネクロマンサー

荒山徹山本弘、戦記ものにくわえ、ラノベ三大奇書の東京忍者も売ってるぞ!

 

東京忍者

東京忍者

 

 

 

海外フィクションの中の謎日本

概要

海外文学を読んでいると時々謎ジャパンが出てくるので、収集しようと思ってエントリを作りました。随時追加予定(2018年10月)。

 1943 アメリカ 

小鬼の市 (創元推理文庫)

小鬼の市 (創元推理文庫)

 

 スタークの手首に耐え難い激痛が走る。またしても日本式だ―――きわめて素朴で強靭な人々が暮らす、極東の島国で生まれた技だ。

もしも暴漢どもがこうした組技の手ほどきを受けた日本人並みに冷徹で、しかも腕が立つならば、スタークにはもう助かる見込みは無い。

暴漢二人組みは日本人ほど痛みに強くなかった。

 主人公が暴漢に襲われるけど、日本人じゃなくて助かったぜ! 太平洋戦争中の日本のイメージやばい。

 2006 アメリカ 

ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)

ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)

 

 「日本」が作中の大きなテーマになっているが、日本に関する描写は、日本人の視点からすれば不自然な点も散見される。 

出典: Wikipedia ハンニバル・ライジング

 あの有名な犯罪者レクター博士に日本文化が影響を与えてました。うーん、日本についてちゃんと調べて書いてる、書いてるのにこれじゃないジャパン。小説としての微妙さと相まってかなりの残念感。

2009 フィンランド

極夜 カーモス (集英社文庫)

極夜 カーモス (集英社文庫)

 

俺はドイツと日本を調べた。残忍な性的倒錯が多いとされる国々だ。こちらでも逃亡中の犯人はいるが、手口が一致しない

 ふ、不名誉な称号だなあ。パリ人肉事件のイメージなのかなあ。

 2009 ドイツ

犯罪 (創元推理文庫)

犯罪 (創元推理文庫)

 

「タナタ氏の茶碗」

楽の印が押された日本最古の窯元で作られたものだ。こういう焼き物には古い日本が息づいていると、以前友人から教わったことがある。

 うーん。この本はリアリティ重視の犯罪小説集なんだけど、この短編の日本人タナタ氏だけが謎の神秘の東洋人でリアリティぶち壊しなんだよなあ、2009年でこれかよ感が強い。

 

以下、面白いものを見つけしだい追加予定

【感想】奇妙な味のアンソロジー、トラウマ短編やめて「夜の夢見の川」 中村融編

 

トラウマ短編「麻酔」 クリストファー・ファウラー

アンソロジーの一作目って非常に重要ですよね。本の方向性を示して、読者に次を読む気を起こさせるとても大事な役割を持ちます。

なのになんでトラウマ短編をトップにもってくるのおおおおおおお やめてえええええええええええ

「大都会の真ん中に空いている地獄への入口」というのはまさにその通りで、知ってしまったらもう絶対離れられない恐怖を見つけて他人に植え付ける著者。あとそれを拡散する編者。お前ら許さんからな。少しはユーモラスなところがせめてもの救いか。

本全体について

色々な不思議な読後感を残す短編が多い、のだが・・・かすかな余韻程度では上記の「麻酔」に勝てないため若干印象が薄い。その中ではやっぱり最後の「夜の夢見の館」カール・エドワード・ワグナーは良いですね。闇の中を逃亡して温かな屋敷にたどり着くがそこは・・・というやつで、主人公と一緒にめまいのする雰囲気に没入できる良作です。

次に買う本

さて、アンソロ読了後の恒例の儀式、次に買う本決めだけど、ワグナーはまとまってないなあ、「白昼の闇」ファウラーはどうしようかな、買いたくないけど見かけたら買おうかな。

【感想】没頭、熱中、サプライズ「蜘蛛ですが、なにか?」1~9 馬場翁

蜘蛛ですが、なにか? (カドカワBOOKS)

蜘蛛ですが、なにか? (カドカワBOOKS)

内容

女子高生が異世界のダンジョンに蜘蛛として転生して、生き延びるためにモンスターと戦う

感想

すいません。食わず嫌いで、なろう小説なめてました。はい。めっちゃ面白いです。
レベルやスキルの概念もあり、どちらかというととゲーム実況動画を見ている感じが近いですね。「小説家になろう」で連載されてただけあって、圧倒的なリーダビリティ&ページターナーでさくさく読めます。
蜘蛛子の一人称の文章が面白いし、格上相手に知恵とスキルで立ち向かっていく様が見ていて本当に楽しい。最初は蛙相手にも苦戦していたのにそのうち龍とも戦えるようになっていく。
それでさくさく読んでたらびっくり。え、あれは伏線だったのかよ・・・と。まさかそんなところにサプライズを仕込むとは、
無防備なところをやられた、しかも何回もやられました。参りました。
ジャンルが○○だからなどと読む小説の幅を狭めてはいけないということを改めて思い知りました。

備考

とりあえず読んでみたいという方には漫画版も出来が良いのでおすすめです。

【感想】美醜、妄執、芸術の業「累 かさね」1-14(完) 松浦だるま

 

内容

醜いけど演劇の才能がある少女が、キスで顔が入れ替わる口紅を手にして・・・

感想

累 かさねという凄い漫画が14巻で完結しました。

テーマは美醜と芸術の業かなあ。登場人物は非常に少ないんですが何かいてもネタバレになるなあ。どいつもこいつも目的(演劇、復讐、歪んだ愛など)のためなら殺人も辞さない覚悟完了ばかりですからね。そして実際人が死ぬわけだ。

この口紅で顔奪っても1日しかもたないんですよ。さてどうするっていうサスペンス要素と、一癖も二癖もある登場人物の打算と妄執と業にぐいぐい引き込まれていく。その中のあまりに無力な友情もまた尊い。物語はどう考えてもどうしようもなく悲劇まっしぐらなんだけど最後はああああーってなります。ああ、凄い漫画を読んだ。

余談

めしにしましょう」の小林銅蟲がアシスタントやってます。

電子書籍について

最近の読書生活で一番変わったのは、電子書籍で読書するようになったことですね。超便利です。具体的に言うとですね

メリット

  • かさばらない
  • 大量に持ち運びできる
  • 欲しいときに即読める
  • セールで安く買える
  • 暗いところで光る
  • 文字の大きさを調整できる

デメリット

  • ぺらぺらめくる、ぱっと戻るに不向き (推理小説等)
  • 漫画の見開きは大きめのタブレットかPCでないと厳しい

こんなとこですね。

 最初はKindle使ってましたが、honto に移行しました。

Kindelになくてhontoにある機能

  • シリーズ別にまとめる(小説もまとめてくれます)
  • 小説と漫画を分ける
  • 未読既読の簡単な管理

それだけかって? なんでそれだけのことが天下のAMAZONにできないんでしょうね・・・・・・。

hontoセールはKindleには負けますが、全商品○%OFFとかコミックセット○%OFFとかやってるので良いですよ(財布には良くない)

背景黒、文字白にして部屋暗くするとSF小説には最適なサイバー感でますのでおすすめ。