積みは快楽だ 社会人編

読書その他の雑記

【感想】前半ワクワク、結末残念「災厄の紳士」ディヴァイン

 

災厄の紳士 (創元推理文庫)

災厄の紳士 (創元推理文庫)

 

 

内容

前半はジゴロ視点での軽妙な倒叙サスペンス。「計画」のために金持ちの娘を落とすぞー
後半、死体が出てからは推理ものに変更 フー&ホワイダニット

感想

あらすじは面白そうで各ランキングも高いから読んだけど、んー、前半は楽しかったけど後半ひどい。結末で明かされる犯人と動機が全然納得感も驚きも無いのが痛い。
解説でパズラーって書いてるけど、ピースはまってなくないすかこれ。ご都合主義的に登場人物が駒のように動いてるのにプロットが破綻してるし、伏線はとってつけたようだし、残念残念。

初ディバインだけど、もう読むことはないな

【感想】ラテンアメリカの実力ってこんなもんなんすか?「20世紀ラテンアメリカ短篇選」野谷文昭編訳

 

内容

下記4カテゴリでまとめられた中南米の16短編

 I 多民族・多人種的状況/被征服・植民地の記憶

 II 暴力的風土・自然/マチスモ・フェミニズム/犯罪・殺人

 III 都市・疎外感/性・恐怖の結末

 IV 夢・妄想・語り/SF・幻想

感想

つまんなかった。ちょっと本書は期待値高かっただけにダメージでかい。

ラテンアメリカってあんまり読んでないんで入門にちょうどよさそうだし、きっと私の貧困な想像力の惰性の読書を吹き飛ばしてくれるような強烈な体験が・・・無かったなあ。というかこのテーマでアンソロ組んでつまらないってことありえんの? まじで? どの短編もあまりにも小粒すぎませんか。なんでガルシア・マルケスで地中海の短編選んでんの?

半分まで読んで投げようかと思ったけど、頑張って最後まで読んだけど、これだという短編に出会えず。いや、各短篇が駄作かというと決してそんなことは無いけど集めると脇役しかいないような。

一応積読には

ラテンアメリカの文学 ラテンアメリカ五人集 (集英社文庫)

ラテンアメリカ怪談集 (河出文庫)

悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集 (岩波文庫)

とか積んでるんだけど、ちょっと時間を置こう。

【感想】歴史の流れの端でミステリ短編「方壺園」陳舜臣

 

方壷園 (ちくま文庫)

方壷園 (ちくま文庫)

 

内容

方壺園

唐の時代、四方を高い壁に囲まれた「方壺園」(上の書影の建物)の詩人をめぐった密室殺人事件。役人が不可能犯罪を「仏罰」で片づけようとするのは笑った。

九雷渓

1934年の中国、政府につかまり余命いくばくもない詩人の革命家に会いに行く

梨の花

現代の日本、被害者は密室の中で突然殺されかけるが生存。ただし犯人の顔も密室の謎も皆目わからない。面白トリック思いついちゃいました系で本書では異色。

獣心図

インドムガル朝が舞台の犯人あて小説。作者曰く「史実八割、フィクション二割」。完全正解者無しは悪い意味で仕方ないかなあ。

紅蓮亭の狂女

明治時代、日本人が中国情報を探りに清の皇族に会いに行くが、思いがけぬ目に遭う。状況の異様さのわりにトリックが平凡でちょっとちぐはぐ

感想

まーた日下三蔵編を買ってしまった。

陳舜臣歴史小説家だと思ってたら、なんだ君もミステリ好きなんじゃんみたいな仲間意識が芽生えました。

短編ごとに様々な時代を書いてますが、多いのは近代中国で日本人が事件にまきこまれるというもの。

 「日本と中国の危うい関係」

 「漢詩の詩情」

 「事実と創作の混在」

 「そもそも筆力が高い」

等で没入感は高いんだけど、ミステリ部分で現実に引き戻されるのは良いのか悪いのか・・・

本書は帯で「本格ミステリ」「瞠目のトリック」とかすごい煽ってるけど、そこ推しなんだ・・・いや、ミステリ読みに読んでほしいというのはわかりますけども。

 

【感想】どうしてこうなった状況が楽しいユーモアクライムノベル 「泥棒が1ダース」ドナルド・E・ウェストレイク

 

 

「ジョン、お前は泥棒なんだぞ」「今回は違うぞ!」

内容

愚かな質問には

泥棒が泥棒のコンサルタントを頼まれる。誰が誰を出し抜いたのか、まさに泥棒のプロの鮮やかなお手並み。

悪党どもが多すぎる

泥棒が銀行の金庫室までトンネルを掘ったら、そこには銀行強盗の人質が! どうしてこうなった。

真夏の日の夢

無実の泥棒が泥棒扱いされる話。いや泥棒だけど泥棒してないんすよ冤罪なんすよ。

芸術的な窃盗

泥棒仲間が画家に転職。話題作りのために自分の絵を盗んでほしいと頼まれる。

感想

泥棒のプロ、ドートマンダーさんが悪戦苦闘する短編集。有能なのにやたら不幸な状況におかれて笑ってしまう。それでも大抵はきっちり儲けをだしているのはかっこいい。軽快でユーモラスだし人は死なないし笑顔で読めるクライムノベル、楽しい。

ウェストレイクは初めて読みましたが、ドートマンダーさんは長編もたくさん出てるみたい。新刊で入手可は少ないけど、探して読もう。

はてなブログ構築してからの設定など

ブログ設定

ToDo

  • 見出しのスタイルをちょい修正
  • 記事を書く
  • Googleアドセンス導入(うーん広告は邪魔だから悩む)
  • Amazon嫌いになってきたので、紹介リンクをヨメレバに変えようかなあ

あとは書くだけでございますねえ。

ブログ目標は月1冊~月10冊 で100記事を超えたい。ゆっくり進もう

【感想】盛り上がらない第二部オープン戦「星界の戦旗6」森岡浩之

 

内容

主人公陣営が負けて十年後、逆襲のはじまり、第二部開幕

感想

ボーイミーツガールのボーイだけ老けていくのは悲しいなあ。主人公力も失って久しいし。作者も読者も順調に老けてるからありといえばありなのか。

アーヴ(主人公陣営、有能、高慢、不遜)が大口叩いて普通に負けて十年も悲しい。

  上が無能で負ける展開 ← わかる

  敵が有能で負ける展開 ← わかる

  上から下まで有能で敵は無能で負ける展開 ← ???

だって敵にネームドいないんだぜ。銀英伝でいうと、ヤンのいない同盟に負けるラインハルト様。そのギャップを楽しむべきなのか?

そんな中での5年ぶりの新刊! 逆襲の緒戦! フラストレーションを解消して盛り上が・・・らないですね。特に普通でした。まあまだ戦いは始まったばかりだし・・・何年後か知らんけど続刊は出たら買いますよ。だから惰性かつ低い期待を裏切ってくださいな。

【感想】再び推理マシマシ大盛「その可能性はすでに考えた 聖女の毒杯」井上真偽

 

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

 

まったく、何という空理空論。――互いに大法螺の棍棒で殴り合っているようなものである。

内容

ある村の結婚式の最中に、酒を回し飲みした親族の中で男だけが毒殺される。誰がどうやって毒を仕込んだのか、それともこれは「カズミ様の呪い」なのか

その可能性はすでに考えたシリーズ第二弾。

感想

相変わらず事件は超高速展開、130ページで事件の情報が出そろい、あとは推理推理アンド推理。でてきた推理の数は数える気にもならない。

最初は被害者たちがお互いに犯人よばわりする推理小説おなじみの穏当?な展開に油断していると、フェリー上で拷問ショー直前というアクロバティックな舞台で推理合戦と、外連味も相変わらず。

それを楽しめるかというと確かに楽しい。メタ的な視点だと、仮設と反証には論理性以外にも、「面白くなければならない」という枷がはまっているのだけれど、それを巧みに伏線を配置することで回避しているのは実に良い手腕。

ただなあ・・・どうしても真相が伏線の間をすり抜けたものになってしまうのがちょっと歯がゆいかな。途中から推理が複雑化して「本当に全部考えたの?」ともやもやする。

本当は表とか見取り図とか手掛かりとにらめっこしながら「俺の考えた可能性」で作者と勝負するのが一番楽しめるんだろうなあ。やらんけども。

あと、ランキング上は本作のほうが前作より上ですが、個人的には前作のほうが楽しかったです。前作感想↓

www.tsumi-kai.com